人畜共通伝染病(Zoonosis)

●狂犬病
  感染した動物に咬まれたりする事で唾液中のウイルスに感染する。
   日本では1957年以降発生していないが、世界的に狂犬病の発生していない国は非常に少なく、
  狂犬病発生国からの動物の輸入、船舶などによる動物の持ち込み(犬やネズミなど)など、
  いつ発生しても不思議ではありません。狂犬病はほ乳動物すべてが感染しますので、
  犬や人だけではなく、猫やアライグマ、狐、コウモリ、象など哺乳動物すべてに発生が見られます。
  狂犬病の怖いところは人へ感染する事だけでなく、感染後、症状が出たら100%死亡する事です。
  これは人でも同じで、世界的には年間3〜5万人の人が狂犬病で亡くなっています。本当に驚異的な伝染病です。
  現在、この病気のない日本に住んでいるという事は、とても幸せな事ですが、逆にこの病気の恐怖は薄れており
  危険な状態だと私は思います。よく”狂犬病は今出ていないから、打たなくていいですよね?”と
  平気で言われる方を目にしますが、そんな事は決してありません。発生していない現在だからこそ、
  発生しないように狂犬病の予防注射が必要なのです。狂犬病の予防注射は犬を狂犬病から守る事を目的とした
  注射ではありません。人を狂犬病から守るための注射なのです。つまり、人の身近にいる動物に
  狂犬病の免疫をつける事で、仮に狂犬病が発生しても人に狂犬病が感染しないようにしているのです。
  アメリカでは狂犬病の発生がありますから、犬だけでなく猫にも狂犬病の予防注射を義務づけています。
  実際、日本での最後の狂犬病は猫でしたから、もし日本で狂犬病が発生したら猫への接種も義務づけられるかもしれません。
 
●回虫症
  回虫という名前は犬や猫を飼われている方は一度は耳にした事があると思います。
  回虫は動物の腸に寄生する寄生虫ですが、人に感染した場合は人の体内で成虫にならず、
   幼虫移行症という回虫の幼虫が体内で動く事で人に悪影響を起こします。
   幼虫移行症は幼虫の行った場所により異なった症状を出します。
  例えば眼に移行して失明したり、肝臓に移行する事で肝機能障害を起こしたりします。
  回虫は感染している動物の糞便の中に虫卵(寄生虫の卵)が排泄されます。
  その寄生虫の卵を口にする事で人も動物も感染します。(子犬の場合は胎盤移行で妊娠中に感染します)
  体外に排泄された回虫卵は数日で感染力のある含仔虫卵(卵の中に幼虫ができた卵)になります。
  これを口にして人は感染します。直接動物のウンチを食べる人はいませんが、例えば犬に口を舐めさせたり、
  回虫の卵で汚染された砂場や土で遊んだ後、手を洗わずに食事をしたりといった事で感染します。
  アメリカでのデーターでは人の回虫の抗体検査で人口の2.8%が、1〜11才の子供ではなんと4.6〜7.3%が
  抗体陽性を示すとされています(つまり回虫への感染経験があるという事です)。これは大変怖い数字です。
  日本ではこのようなデーターは出ていませんが、おそらく同じような物ではないかと思います。
  回虫の感染は自分への感染だけでなく、他の人、特に子供に対する感染を無視できません。
  そういう意味では、定期検便だけでなく、散歩中にしたうんちは必ず持ち帰り処分する、
  猫を室外に出さないという事は社会的な責任だとも思います。
  寄生虫の感染の機会はすごく身近にありますが、感染した場合、有効な治療法がないという意味では、
  とっても怖いものなのです。動物と仲良く暮らすために、「定期検便」。皆さん考えて下さいね。

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フィラリア症

●フィラリア症とは?
    フィラリアとは寄生虫の名前です。この寄生虫が心臓や肺の血管に住みつき、血液の流れを悪くして、
  さまざまな器官に起こす病気をフィラリア症といいます。心臓をはじめ、ほとんどの内臓に障害が出るので、
  症状はさまざまです。外に現れる症状としては、咳が出る、血を吐く、血尿、運動中すぐに疲れる、倒れる、
  腹水がたまる等です。そして、貧血が起こり、元気や食欲がなくなって、死亡することも少なくありません。

●フィラリアの感染方法は?
  フィラリアは犬の体の中で子虫を生みます。この子虫は血液と一緒に蚊に吸われ、蚊の体の中で2週間ほど育ち、
  その蚊が犬に吸血するときに再び犬の体に移されます。この移された子虫は犬の体の中で育ちながら心臓に
  たどりつき、15〜30pの大きさの成虫になります。
●予防方法は?
  すでにフィラリア症に感染してしまった犬では、成虫を薬で駆虫したり、あるいは外科的に取り出さなければ
  なりません。予防の前にまず、親虫や子虫がいないか簡単な血液検査を行います。5分ほどで結果がでます。
  フィラリア症に感染していなければ、フィラリアが成虫になる前に、蚊から移された子虫を殺すフィラリア予防薬を
  投与します。最近利用されている予防薬は有効成分の投与量が少なくてすみ、安全性が非常に高くなっております。
●予防薬の正しい飲ませ方
  蚊から感染した子虫は犬の体の中で成長し、6ヶ月間で成虫になります。この薬は投与した日より1ヶ月前の
  子虫を全て殺す事ができますので、蚊の発生1ヵ月後から終息1ヵ月後まで飲ませます。
  通常、4月から12月までの月1回、計9回を飲ませる事をお勧めしています。4月から飲ませると、
  3月に感染した子虫を殺すことができます。蚊が15℃以上から発生することから、この時期から飲ませた方が
  安全ではないかと思います。また11月に暖かい日があれば12月にも予防薬を飲ませてあげましょう。
  予防は継続が大切です。途中で止めたら、それまでのお薬が無駄になりかねません。

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